ことしの3月定例会、議会全体の総意として作り上げた「西宮市議会基本条例」は、他市にない進んだ部分をもっていると思います。
その「基本理念」第2条で「議会の活性化」をかかげ「地方議会・議員が有する議事機関としての権能が最大限活用され、議会全体はもちろん各議員も公平な立場から積極果断に市政の課題に取り組み、質の高い政策提案、議案審査、行政監視によって住民の福祉の増進が図られている状態」と定義しているのも、ちょっとくどい?けど、実ははっきり言っている議会は少ないのです。
そんなセールスポイントなのに、…。今日、ここで述べたいのは、その理念からみると疑問符がつくお話です。
【議会改革特別委員会での協議】
本日開かれた議会改革特別委員会の中で、一般質問の制限時間(原則一人一定例会で20分)を見直そうという協議事項がありました。
現行のルールは明らかに不公平なところがあるので、見直しは当然のことなのです。
見直しポイントは、(下表参照)
1、会派には20分×人数にプラスして、一律「30分」という加算があること。
2、質問時間は議員一人あたり一定例会につき20分
の2点だと見ました。(資料に、はっきりこう書いてあるのではないのですが)
そして、会派に属さない無所属の立場からいえば、3、として、同じ会派の議員同士で時間のやり取りができる点(例えば、割り当て時間が45分だとして、実際の質問でその議員が35分しか使わなかったとすると、残りの10分は、同じ会派の議員に加算される。また、45分で足りなくて、後刻質問予定の同会派の議員がまだいる場合は、その議員の時間を使うことができる)でも、無所属にはそのようなことが許されておらず、不公平だとかんじてきました。
1、については、会派が大きくなると一人あたりの加算分が少なくなり、3人の会派(最少員数)が最もお得な時間ということになります。この点は、大きな会派の方から不公平感があるのもわかります。
そして、無所属には、そもそも、その加算分がなく、毎回、質問しても、20分ポッキリで、その時間内で質問し答弁をもらう、という現状です。少なくとも、私は、20分では足りないことがほとんどですから、議長から「残り時間に気をつけて」なんて、よく注意をうけます。時間も少ないし、おまけに他の議員から時間をいただくこともできないにもかかわらず、時間通りにやめなさい、と言われているようなもので、理不尽感は否めません。
議員が議会で行政に対して行う「質問」には、通常、議員個人が行う「一般質問」と会派の代表が行う「代表質問」とがありますが、そもそも、一般質問は、議員個人が行うもので、そこに、なぜ、会派への加算分「30分」があったのか私には全く理解できません。
どこに根拠を持つのかわからない「加算」は即、廃止すべきです(他市の議会にはほとんどありません)。
先日の選挙でも、地方自治体の議員は、会派で選ばれるのでなく、候補者個人の名前を書いて個人個人が一人の独立した議員として選出されたはずです。
それが、選挙が終わって直後の議論で、その会派への加算をやめるべきという意見にはなりつつあるものの、今すぐやめる、ということにはならない雰囲気なのが、私には、不思議です。
一般質問という制度の趣旨に立ち返り、また、個々の議員が独立した立場であることを考えれば、答えはすぐに見えるはずです。
できたてほやほやの「議会基本条例」の「議会の活性化」をすすめるために議員の「公平な立場から積極果敢に…」云々の文言が、いきなり「絵に描いた餅」化でする雲ゆきです。
一般質問に関しては、会派所属議員と無所属議員の区別をする理由はこれまでも全くなかったはずなのに、長く、西宮市議会は、そんな過去の因習のようなものを引きづってきたと言っていい。
議会基本条例ができた今こそ、そのようなのもは破棄すべきでしょう。
今日の協議では、一律、25分に、という案が政新会の委員からありました。
私は、その考え方に概ね賛成です。(その時間に答弁が含まれる点は改善すべきで、その場合、下表の「往復」とあるように短くても40分とか50分が多いようです。表は、私が近隣各市議会からお聞きして、まとめたものです。答弁を含まない「片道」でも40分も質問時間をとっている市も少なくありません。)
ただ、一般質問に、会派でプラスα(=表の「30分加算」。他市にはない)という考え方を外せばいいのです。
また、一定例会あたりの会派での合計時間というこれまでの考え方を維持したいのであれば、約半数の議員が一回おきに質問をするという現状をみれば、たとえば年間の一人あたりの合計時間を公平にすればいいだけです。
これまで、無所属には、会派割という加算がないので、質問をしなかった定例会の時間を次回以降にプラスすることが許されていました。
それでも、会派所属議員の一人あたりの時間よりは、少なかったのが事実です。
そのへんの現状を踏まえた上での協議を無所属を外した協議の場でできないのであれば、不公平な理不尽な委員会の協議と言うほかありません。
【新人議員へ説明可能な公正さを】
6月11日には、新人議員が新任期を迎えて議会に入ってきます。
新人議員にこそ「公平」な議会運営を示すべきではないかと思います。
合理的な理由がない区別(差別)は、6月10日までに撤廃しておくべきです。
6月11日以降、会派に所属しない無所属議員が存在するのか否か、まだ、わかりませんが、仮に無所属議員が一人もいなくても、ルールとして不公正なものは撤廃しておくべきです。
そして、私が自分のブログで、書かなければいけないことの理由は、議会改革特別委員会や、議会運営委員会でも公式の委員としての発言の場が無所属議員にはないためです。
仮に、無所属を参加させないことに正当な理由があるのだとすれば、その協議の内容は、無所属を含めた議会全体の公正な議論であってほしいものです。
【数の論理とは異なる市民派の立場で】
選挙直後のある日、ある市民の方から「力を発揮するには、会派を組むべきだ」という貴重なご意見をいただきました。
しかし、それは、こころざしを同じくして組むべきメンバーがいるのかどうかや、議会全体の状況を見渡した上でのご意見ではないと感じました。
また、地方議会の議員は、数の論理だけで活動しているのでもないので、「数は力だ」というどこかの国の保守系与党議員のような考えに、私は与する必要もないと思っています。
それが選挙で「よつや薫」と書いて、再び議会に送り出していただいた市民の方に答えるいきかただと、改めて考えています。
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