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6月定例会…新議長に対する疑惑に関する陳情3件審査

ひじきの煮物。常備菜に欠かせません。注:本文と無関係。

 5年前に発覚した事案とはいえ、市民からみると疑惑が晴れていないと思われてもしかたがない高額の金品授受が現議長にあったとする報道がいくつもありました。その疑惑が晴れていないとする市民の方からなぜ、その議員が議長に選ばれたのかとか、この際、その疑惑の解明や司法の場で明らかにしへほしい等の陳情事項の陳情が計3件(3人の陳情者)、出され、昨日、議長出席の議会運営委員会で、審査がありました。

そもそも、この事件(事案)はどういうものだったのか、その内容を知らないという市民の知人から何人も問い合わせもあり、この際、ここで、その当時の事件発覚前からの、当該NPO 法人(株式会社も持っていたので、グループといいますが)グループと、西宮市の関わり、そして、そこになぜ疑惑を持たれる市議会議員が絡んできたのかをざっと、以下に。(長文ですが、お時間のある方は最後までお読み下さい)

【2017年初頭発覚の脱税事案から市議会議員への金品授受疑惑報道とその後】

2002年   それまでの組合形式の事業所が、NPO法人西宮障害者雇用支援センター(以下NPO法人)を設立
2007年   西宮市が当該NPO法人グループに随意契約で発注していた障害者・高齢者就労関連の事業削減を検討
2007年~12年 当該NPO法人が西宮市議と元兵庫県議の男性を接待、と後日(17年4月)報道

2017年1月 NPO法人に大阪国税局が2億8000万円の追徴課税。(毎日新聞17年12月1日記事)
同年 3月 メディア各社が、当該NPO法人の〝5億円の脱税疑惑〟を報道
同年 4月 兵庫県(NPO法人所管庁)および西宮市が調査に入る。
同年 4月 「週刊新潮」が「障害者支援金にたかった『政治家』」の一人として坂上明市議会議員の実名を掲載。…「5年で関係は絶ったものの、今回、税理士が調べてみると1億6000万円以上が(坂上議員に)渡っていた」とも報道。5億円脱税部分の一部を「理事長の父の私的流用を否定」
同年 5月9日 西宮市議会 議会運営委員会において、これまで名指しで報道された坂上議員「一切僕は何の関係もございません」とNPO法人からの金品授受を否定 
同年 12月 接待の具体的内容報道…NPO法人理事長「2009年5月以降、毎月40万円を坂上氏に渡した」と主張(毎日新聞同年12月2日記事)。神戸新聞(同年12月15日)も同内容。いずれも「市議側は否定」と報道。

2017年12月14日 毎日新聞記事コピーより転載 

同年 12月19日 西宮市議会は全会一致(坂上議員は除斥対象)で、「坂上明議員とNPO法人との間での金品授受等をめぐる報道に関して、西宮市議会として真相解明に努力する決議」を採択(下段【資料1】参照)

2017年末までの客観的な経緯は以上です。

この点について、私自身は、事案発覚後の2017年6月議会(6月27日)において、NPO法人への西宮市の清掃事業など年間約3億5000万円に及ぶ額の事業を発注してきた結果、6000万円~9000超万円の余剰の金額が生まれたことを指摘。その金員が元県会議員や現職の市議会議員に渡ったとの報道があったことも述べました。

また、当該議員が何度も一般質問をすることによって、発注額が増大したのではないかという点と、当該議員が市の局長級の幹部に再三にわたって当該NPO法人の会長らを伴って面談しているという事実も明らかにしました。(当時の面談記録の一部は、まだ手元にあります)

 そして、本年6月議会で、陳情が3件も出されたのは、それらの疑惑が完全に払拭されていない、その議員が議長に選ばれたことで、議会そのものの姿勢が、一つは、問われたのではないかと、私自身は思います。当該NPO法人で就労していて、この件で、結局その仕事を失った障害のある市民の家族の方からの陳情もありました。

 陳情審査の行われた議会運営委員会では、改めて、野口委員から金品の授受があったかどうかを明らかにしなければ、説明責任を果たした事にならないからまず、その説明責任を果たしたのか?との趣旨の質問が議長にありました。

 議長からは「金品の授受はありませんので、説明責任も果たしたと思っている」というものでした。

 しかしその説明は、当時(2017年から19年2月までにかけて)、再三にわたって「司法の場であきらかにしたい」という趣旨で添付された資料にも「新聞報道にある内容は否定し、刑事告訴、民事裁判の準備をしている」旨が記載されていた」(2017年)り、2018年2月には、議長あてにご本人から「…、一方の言い分を偏重した報道は市議会議員の名誉を著しく傷つけるものであることから、只今当該法人及び報道関係者を提訴するべく準備中であります。弁護士からは今後、言動はすべて裁判に影響するので十分注意するよう言われており、言葉が本来の意図を離れて引用されることを防ぐ為にも本件に関する内容や私の考えについて開示することは控えさせて頂いております」という内容を含む文書の提出が当時の議長あてにありました。

 また、その後、訴訟準備の進捗状況について、他の会派の委員から、2018年5月、8月にも質疑があり、議会のほとんどの議員は、坂上議員が少なくとも、金品授受が一切ないのに、あると報道された、その点だけでも、大きな名誉棄損にあたり、当然、少なくとも民事提訴はされ、その中で、疑惑を解明されるものだと考えていたのです。

 しかし、2019年3月(=4月の市議会議員選挙直前)、委員会で、刑事民事ともに、訴訟手続きを見合わせるということを突然明らかにし、その理由は、
 当時(2017年5月)と現在(2019年3月)で、少し事情が変わった。
1、相手が刑事告訴をすると言っていたが、警察も検察も何の連絡もない。
2、西宮市との契約が完全に打ち切られたということ。
3、向こう(当該NPO法人)の所在が今、分からないということ。
4、この手の裁判は、非常に長期の時間を要するということ。その労力と時間を考えると自分も気分的にさっぱりとしたいということもあり不本意ではあるが、今回は見合わせる。
 これらの理由をうけて、当時の議長から、この程度にとどめたいということになり、議会(議運)としても、形の上では幕を引いて、選挙に臨んだことになりました。

 結局、今回の議運でも、同様の内容を繰り返すだけでした。

 真相を市民に伝える場をつくらないのでしょうか、との田中あきよ委員からの質問もありましたが、議長は「今、そういうことは、考えていない」というだけの答弁でした。

 この陳情3件には、日本共産党市会議員団と市民クラブ改革が賛成を表明しましたが、他の会派、政新会(坂上議員の所属会派)、公明党、会派ぜんしん、維新の会、政蘭会が「結論を得ず」としたため、採択されませんでした。
 採択できない理由のなかで、気になった委員の発言に関してだけ少し述べたいと思います。
 それは、「疑わしきは罰せず」のような言辞を用いていた委員がいたこと。

 また、その委員は、名誉棄損の訴えについて、「訴訟するかしないかというのは御本人の内心の問題」だとも述べました。

 まず、疑わしきは罰せずとは、刑事裁判で司法の側のひとつの法理ともいうべきもの、議会の場にいる者がこんな言葉を出すとは、呆れました。地方自治法第100条のいわゆる百条委員会は何のために制度として設定されているのか、また、この坂上議員の問題が発覚する中で、西宮市議会が自ら「西宮市議会議員政治倫理条例」を制定し、政治倫理審査会を自らひらいて、疑惑などある議員を審査することを規定しました。

 坂上さんの件は、この条例策定前に発覚した事案なので遡及適用できませんが、その趣旨は、十分に斟酌して、陳情の趣旨の審査をいただきたいものでもありました。

 疑わしきは罰せずを適用したら、これらの議会としての制度は絵に描いた餅にしかならない。良識派と思っていた議員から、このような反対理由が発せられたことに、大きなショックとともに違和感を覚え、思わず、傍聴席から、不規則発言を投げかけてしまいました。

 また、私たちは、再三にわたって当該議長が「訴訟準備中」などの言葉を発していたことを見守り、訴訟の中で、明らかにされるものとじっと待ち、見守っていたのであります。

 そのことを知っているはずの議員から今さら、「訴訟は、内心の問題」などというのは、どういう意図があるのか。では、当初、2017年の5月ごろから、その点を述べていたのでしょうか?そうではないでしょう。事実を解明するための努力を自ら放棄した発言という他ないです。
 それにしても、「1億6000万円が(当該NPO法人から現議長に)渡っていた」と言い切っている週刊誌もあったのですから、もし、私にそんな嫌疑がかけられたら、当然、それが、事実無根なら、少なくとも、その週刊誌だけでも、民事で、訴訟を提起せずにはおれません。


 最終日の今日、正副議長の記者会見も傍聴しました。

 その中で、ある記者から「特に名誉を傷つけられる事案だと思うが、名誉の回復のために、スーツを仕立ててもらったとか、旅行代金を払ってもらったとかという疑惑があったわけだが、ご自分で、スーツを購入された店に行って『これは間違いなく私が買いました』というような証拠集めをするだとか、旅行会社との話し合いの中で『もう一度証明してもらえないか』とか、自身の潔白を示すための行為はされたんですか」という質問がありました。

 それに対して議長からは「旅行社とかスーツ屋に『僕が払ったよね』などとは、言っていない」「僕はスーツを作って、領収書などもらったことがない」、再発行を求めてはどうか、という記者からの質問に対しても「再発行も求めない」との答えでした。
 こういう回答だと、再発行を求められない事情があるのでは?、との新たな疑惑を招くのでは、と思われ、解明の努力をしなければならない議会の一員としては、非常に残念でありました。

【資料1】 2017年12月19日 西宮市議会で行った決議
坂上明議員とNPO法人との間での金品授受等をめぐる報道に関して、西宮市議会として真相解明に努力する決議
 自民党の衆議院議員、園田博之元官房副長官に資金提供したとされる西宮市のNPO法人「西宮障害者雇用支援センター協会」が、坂上明西宮市議会議員らにも金品等を提供したという報道が続いている。 12月2日付毎日新聞は、NPO法人が2007年頃から12年頃にかけて神戸市内のクラブで坂上議員らを連日接待し、「費用はNPO顧問が払った」とのクラブ経営者らの発言や、NPO理事長の「2009年5月以降、毎月40万円を坂上氏に渡した」との主張を掲載した。

 また、12月14日付毎日新聞夕刊では、2011年7月、NPO関係者ら7人での沖縄県石垣島への旅行に坂上議員が同行し、費用はNPOが負担、2010年8月から11年10月にかけては洋服の仕立て代を肩代わりしたというものである。一方、12月15日付神戸新聞では、取材に対し坂上議員が「領収書は残っていないが、飲み代も、旅行代も、スーツ代も全て現金で寺下氏らに手渡しで払った」と語ったとされている。 これらと同様の内容は、すでに4月20日発売の『週刊新潮』で報道されていたが、当時副議長であった坂上議員は5月9日の議会運営委員会の席上で「一切僕は何の関係もございません」と発言している。

 改めてこれらの報道を受けた12月18日開催の議会運営委員会では、坂上議員の代理人である弁護士より議長あてに、「一連の報道は『いずれも事実に反することであり、市会議員の名誉を著しく害するもの』として『近日中に刑事告訴をするとともに、民事裁判を提起する予定』」との文書が提出されたことが紹介された。

 しかしながら、このたびの一連の報道では、第三者の証言や、旅行代金および洋服仕立て代の領収書の存在などが指摘されており、「事実に反する」という坂上議員の主張のみでは、真実は不明のままである。 一方で、坂上議員は2008年3月議会から2013年3月議会までの5年間で計7回、障害者就労支援について一般質問し、事実上当該NPO法人を優遇することを求め、市当局もそれにこたえてきた経緯がある。その時期は、坂上議員が接待されていたとされる時期、旅行や洋服を仕立てた時期にも符合する。金品授受等が事実ならば、坂上議員の行為は、あっせん利得罪や収賄罪にあたる可能性がある重大事態であり、議員としての道義的責任が厳しく問われることになる。 よって、西宮市議会として、市民に対しての説明責任からも、坂上議員が予定している司法の場での真相解明をただ待つのではなく、坂上議員とNPO法人との間での金品授受等をめぐる報道に関して、真相を解明することに努める。 以上、決議する。  西宮市議会

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