よつや薫市議会報告

キラリ☆かおる市民ネット通信 No.34 2018年冬号

よつや薫の市議会報告

「身を切る姿勢」とは・・・
身を切る姿勢とは

日本国憲法

第99条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

統一地方選挙の前年になると恒例のように一部の会派から「議員定数削減」案が提出される

今年も9月定例会において、一部の会派から「1」議席を削減する「西宮市議会議員定数条例の一部を改正する条例案」が出されました。理由の一つは「厳しい財政状況を踏まえて身を切る姿勢を議員が率先すべき」というものでした。

しかし本当に「身を切る姿勢」を示すのなら、まず議員報酬こそ削減するべきですが提案会派から今回も報酬削減案は出ませんでした。この定数削減案は賛成少数で「否決」しました。

定数削減の影響をうけるのは組織に属さない新人候補

選挙では、現職よりも政党などに属さない新人候補が当選しにくく、定数削減は新人候補者の当選がより厳しくなることが過去の選挙結果からも明らかです。

既存の組織にしばられない多様な市民の意思を議会に反映すべきとの考えから、定数の現状維持にこれまでも賛成してきました。

2013年に、市民団体から出された議員報酬1割削減を含む「西宮市の議員報酬削減及び政務活動費の削減を求める請願」(署名4,543筆)の紹介議員になったこともあり、月額報酬の1割相当分を供託するとともに、他市にはない役職加算(常任委員長報酬2万円)は「報酬の二重取り」になると考え、反対の立場から返上してきました。

すべきは議員定数削減よりもまず報酬削減ではないのか

西宮市議会の議員定数は、他の中核市(下表)と比べても少ないのです。
議員定数の削減は議会における市民の多様な意思の反映を妨げることになります。

一方、議員報酬の妥当な額についての議論は深まっていません。

兵庫県内の市議会で神戸市会に次いで高い議員報酬の西宮市議会で「身を切る」というのであれば、まず議員報酬こそ削減するべきです。仮に報酬1割削減が実現すれば4867万円余りの削減となり、議員定数1削減による1628万円を大きく上回ります。

現職の議員が自分たちの議員報酬は下げず、議員定数削減だけをすすめるとすれば、議員特権を守ろうとしているとの批判も免れません。

兵庫県中核市の人口と議員定数の比較( 人) 2018.9現在

人口 議員定数 議員一人当たりの人口
西宮市 488,370 41 11,911
姫路市 531,468 47 11,308
尼崎市 451,055 42 10739

議会報告 6月・9月の定例会のトピックス

市長就任後初の定例会で前例のない補正予算案否決の顛末

6月議会は石井市長が就任後初の定例会であり、所信表明とともに、補正予算案の審査がありました。常任委員会での採決どおりであれば、本会議においても可決されるはずでした。

しかし、常任委員会では採決に加わらず「退場」した政新会(自民党会派10人)と、会派・ぜんしん(保守系無所属6人)が、本会議では一転、「反対」したため反対多数となり「否決」となりました。補正予算案の「否決」は、長い西宮市議会の歴史の中で初めての事態でした。

補正予算は、市民生活にとって必要性、緊急性を要する予算であることから、反対された項目を除いた事業経費について8月1日、22年ぶりの臨時会が開かれ、再度、補正予算案が上程され「可決」しました。 6月議会で政新会が反対した「政策にかかる専門家からの助言・
支援に要する経費」、会派・ぜんしんが反対した「酒蔵ツーリズム推進事業にかかる情報発信拠点の運営に要する経費」は、9月議会で再提案され、両会派とも賛成、すんなりと「可決」しました。

6月議会における「補正予算案『否決』」、8月の「臨時会開催」の異例の事態は、議会多数派が市長に対し「数の力」を見せつけた結果です。今後、市長にはパワーゲームに振り回されることなく、市民本位の市政をめざしてほしい。

議論つくさず成立した口利き記録条例
「西宮市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例」

6月本会議の一般質問では、口利きに関して「網羅的な記録ができる条例の必要性」を指摘しました。

市では2011年「西宮市入札・契約事務に関する不当な情報提供要求等対応要領」、2016年「職務に関する元職員働きかけ対応要綱」が制定されていますが、西宮市の記録件数は「0件」です(2017年全国市民オンブズマン大会での報告)。
「0件」は何の働きかけもないという数字であり、実態を表しているとはいえません。

同じ6月議会、一会派から「西宮市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例案」が提案されました。
私は2008年9月、口利き等を防止する条例や要綱等の制度の不備について一般質問をして以来、市への要望等に関する記録について条例の必要性を訴えてきました。その立場から議員提出議案の概要と方向性に賛同していました。

しかし、条例案の中身には疑問がいくつかあり、とくに要望等の記録を規定した第4条第2項「録音することができる」という条項は、無条件で録音される危険性があり、市民の人権侵害にかかわるため「継続審査」に賛成しました。
しかし「継続審査」は賛成少数で「否決」され、残念ながら条例案には「反対」の立場になりました。

全国市民オンブズマン連絡会議は「録音することができる」とした条項が、他市にも前例がないと指摘しており、新聞でも同様に報道されました。

9月議会では改めて、「第4条第2項の削除」と、準備不足が否めないため「施行日を2018年10月1日から2019年4月1日に変更」とする改正案の提案者に名前を連ねました。
しかし、この改正案は賛成少数で「否決」されました。

今後この条例に掲げられた趣旨に照らした実施状況を注意深く見守らなければならないと考えています。

なぜ、「オリジナル婚姻届」に異議を唱えたのか。
住民監査請求を行い、70 万円の返還を求めました

西宮市オリジナル婚姻届

各自治体でここ数年、「オリジナル婚姻届」が作られています。
西宮市も昨年6月の市議会において議員の一般質問を受けて「オリジナル婚姻届」の検討を始めました。

「官民協働事業」として公募し、応募は福岡市のH社、1社のみ。
「婚姻届」用紙と広告5社を載せた12頁の「婚姻手続き早わかりBOOK」(以下、冊子)をH社が作成。今年の6月から市役所の窓口での交付を始めました。

1.掲載広告5社の広告料、経費以外はすべてH社の利益

「オリジナル婚姻届」は近時の流行であり、阪神間の近隣他市は独自で「オリジナル婚姻届」を2万~10万円前後で作成しています。

当初、西宮市もオリジナル婚姻届を自前で作成するなら「7万~8万円の経費」と見込んでいました。
しかし市は経費を広告料で賄う「官民協働事業」の手法をとりました。

婚姻届に関する内容は市がすべてデータで提供しているため、H社が編集と印刷にかかった経費は20万円以内と推定できます。

一方、H社が広告主5社から得た広告料は90万円、H社は経費を除いた70万円の利益を得ていることになります。

2.子どもを産まないカップルへの配慮がない

冊子の1頁目は「元気な赤ちゃんをお産みに…」という言葉と赤ちゃんの小さな手の写真の広告です。
子どもを産めないとわかった上で結婚するカップルや、産まない選択をする人もいます。

無論、助産院を否定しているのではありませんが、行政は「婚姻=出産」というメッセージを発信してはいけなかったのではないでしょうか。さまざまな状況で婚姻をする市民を慮るべき自治体として配慮に欠ける印刷物と言わざるを得ません。

ある既婚女性は、子どもをもうけることについて悩んだ経験があり、冊子を見て「血が凍る」思いがしたと語っていました。

ほかにも、9月の決算特別委員会では「冊子に違和感がある」といった市民から複数の意見が届いていると市は答弁しています。市民を傷つける可能性のある、このような冊子は必要だったのでしょうか。

3.広告を掲載した冊子は誰のため?

従来の婚姻届は、届け出用紙2枚と「婚姻届のかきかた」をセットにした3枚のシンプルなものです。
「オリジナル婚姻届」を提案した議員は「ナシ婚が増加する中、経済的その他の理由で式を挙げない層などを対象に」としていました。

ところが、この冊子は、助産院、ホテル、写真館(2社)、貸衣装会社の広告が掲載されており、市がハデ婚を奨励している造りになっています。

官民協働事業として公募前に西宮市が作成した仕様書はすでに「広告5頁、総頁12頁」となっています。

H社は西宮市と協定を結ぶ以前から100を超える自治体で同様に「広告5頁、総頁12頁」の冊子を作成しています。

公募の形をとりながら、実は公募前からH社と協定を結ぶ筋書だったのではないかと推測できます。
この「官民協働事業」は不当にH社の利益をはかっており、背任の疑いを否定しがたいため、10月2日、住民監査請求を行い、70万円の返還と事業の差し止めを求めました。

よつや薫の市議会報告 No.34

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