よつや薫市議会報告

キラリ☆かおる市民ネット通信 No.42 2024年初夏号

キラリ☆かおる市民ネット通信 No.42 2024年初夏号

今後5年にわたって毎年40億円の財政収支の改善?

単年度収支42億円の赤字、財務改善が急務

昨年(2023年)9月の決算特別委員会で、財務局長は答弁の中で財政について「非常に厳しい。特に本市の場合、財政構造が非常に悪い。財政構造上の問題。

経常収支比率で見られるような経常経費が高止まりというところが非常にネックになっている。

この辺を今後、改善していこうとしている」とのべ、翌月には「西宮市財政構造改善基本方針」を出して、「令和4年度一般会計決算」において、実質
単年度収支が42億円を超える赤字となり、財務体質の改善が急務であることを明らかにしています。

2024年度に入って「西宮市財政構造改善基本方針に基づく取組の大枠について」を発表しました。5年間(2024年度を含む)で、単年度あたり40億円以上の収支改善をめざし、人件費を含めた経常経費の縮減をあげています。

6月補正予算、行政経営推進事務経費の委託料3,000万円が計上されていた

さて、これら財政悪化の情報を議会に明らかにすることに先立って、昨年6月議会では、私たち無所属議員にとっては唐突感を否めない補正予算案が提示されました。

行政経営推進事務経費として「内部経費適正化によるコスト削減支援業務」の委託料3,000万円の計上です。

コンサルティング事業者に委託して経常経費を削減する事業で、削減額の50%を成功報酬として支払うという契約です。

具体的には、2023年度予算の経常経費のうち約80億円分の事業について縮減効果があった場合、縮減額、最大で8億と見込んで50%、つまり最大で4億円を成功報酬として支払うというものでした。5月にこの事業の報告があり、見直し対象事業費約10億円、効果額約2億円前後ということでした。

コンサルへのインセンティブ50%は妥当だったのか?

問題は、先立って行われたサウンディング調査(※)の段階で参加していたコンサル事業者が、そのまま一社のみのエントリーとなり、当初の提案どおりに事業がすすめられたことです。

また報告書で明らかになったのは、他市(首都圏)で行われた同様の事業の成功報酬の割合が40%、西宮市だけが50%だったことです。
私が調査したところ、当該事業社の関係者は「同様の事業は概ね30%」ということでした。西宮市はなぜ50%で契約したのか。

この契約の成功報酬の見直しをはかるべきだった、と考えます。

※サウンディング型市場調査とは:
民間事業者と地方自治体の対話の場のことです。公共施設の整備や運営方法を検討する際に、市場性の有無や実現可能性、行政だけでは気づきにくい課題、民間事業者の参入意欲など、事業に対してさまざまなアイデアや意見を把握する調査のこと。

日本国憲法

第12条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない

2024.議会報告

3月議会 一般質問

非常勤特別職の行政委員報酬について

自治体の行政委員(教育委員、選挙管理委員、監査委員などの非常勤特別職)の報酬は、地方自治法で「日額」と規定されています。

西宮市では月額報酬のため日額制に改めるべきと以前に質問をしましたが月額制が続いています。

2024年2月、兵庫県では行政委員報酬を全て日額制に改めることになりました。日額制による効果額は約7500万円の削減になるとのことです。

そこで再度、質問しました。

【よつやの質問】 地方自治法の本来の趣旨を踏まえて、行政委員会、非常勤特別職の報酬の支給方法は、日額制に改めるべきではないか。

【答弁】 行政委員の報酬は、勤務日数に応じて支給することを基本としつつ、条例で特別の定めをした場合は日額制以外での支給も可能としており、本市も条例において一部の委員について月額支給としている。

行政委員の報酬は、職務の性質、内容、職責や勤務の態様など総合的に判断している。中核市においても一部月額制を採用している自治体が多い。兵庫県が全て日額制に変更することから、他の自治体の動向を注視していく。

【よつやの評価】 月額を続けるとしても他市と比べて高い行政委員報酬がいくつかある。教育委員と監査委員の報酬を兵庫県と同様の日額にすればよつやの試算では約950万円の削減になる。法の趣旨と考え併せて見直すべきである。

パートナーシップ制度について

市はファミリーシップとして、同性カップルの子どもや親も宣誓制度の対象に入ることができる制度に拡充しました。

一方、兵庫県が4月1日より始めたパートナーシップ制度の目的は「少子高齢社会となり、法的に婚姻が認められていない同性カップルや、さまざまな事情により婚姻の届出をしない、あるいはできないカップルの日常生活の困りごとや不安が顕在化している」ことからパートナーシップの対象に「性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティ(性自認)は問わず、性的マイノリティのカップルだけでなく事実婚のカップルも対象とする」としています。そこで質問しました。

【よつやの質問1】 市の制度と兵庫県の制度が併存することになるが、西宮市民としてどちらか一方を選んだ場合、たとえば、西宮市内の兵庫県営住宅にも西宮市の宣誓証明で入居要件を具備すれば、入居できると考えてよいのか。逆に、県の入居要件を具備すれば西宮市の市営住宅に入居することができるのか。

【答弁1】 本市でパートナーシップ宣誓を行ったカップルが利用できる制度や行政サービスの一つとして、兵庫県営住宅の入居申込資格は該当している。また、兵庫県のパートナーシップ制度のみを利用するカップルの市営住宅の申込資格は、今後、適用を可能とする方向で検討する。

【よつやの質問2】 県が予定している制度の対象は「性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティ(性自認)は問わず、性的マイノリティのカップルだけでなく事実婚のカップルも対象とする」としているが、西宮市のパートナーシップ制度にもその範囲を広げるべきではないか。

【答弁2】 本市のパートナーシップ宣誓証明制度は、同性婚など性的マイノリティの法的権利が認められていない現状において、当事者の方々の生きづらさに寄り添い、婚姻や事実婚の選択肢自体がない方の選択肢を確保し、市の権限に属する行政サービスについて利用可能とすることで、制度的な差別の解消を目的として導入した。

また、パートナーシップ制度を運用していくにあたり、10市1町で協定を締結し、制度についての情報共有や啓発も連携して行っており、現在のところ協定締結する市町はいずれも事実婚を対象としていない。今後は、兵庫県や他市町の動向も注視し、協定締結市町と課題意識を共有しながら検討していく。

【よつやの評価】 同性婚を求める市民が増えていく過渡期の制度としてパートナーシップ宣誓制度に取り組む姿勢は評価できる。事実婚についても積極的に取り入れるべきだ。

なくそう!議員特権

時限的な報酬削減ではなく、抜本的な見直しを

2023年12月議会において、1年間限定で「議員報酬額5%を削減」(2024.4/1~)と「常任委員会の報酬加算(委員長2万円、副委員長5000円)を支給しない」(2024.5/1~)条例案を可決しました。

私は、議員報酬は5%削減や期間限定ではなく、根本的な支給額の議論(1割削減等)をするべきとの立場からあえて反対しました。

また、正副委員長の報酬加算については一貫して反対してきました。今回の改正には賛成しましたが、時限的な削減でしかなく問題は先送りのままです。

報酬加算は正副委員長の仕事が増えたから始まったという認識の議員がいましたが、報酬加算は42年前に始められたもので、委員会の活性化に連動したものではないことを指摘しておきます。

財政難の今こそ、西宮市議会の報酬が近隣他市に比較して高いまま推移してきたこと、近隣他市にはない正副委員長の報酬加算が支給され続けてきたことについて、議会自ら報酬額のありようを根本的に協議しなければならないと考えます。

【請願】全国127の自治体議会で採択されている「 冤罪被害者の再審規定」不採択になる

10月8日、検察当局が控訴しないと決めたことにより袴田巌さんの無罪が確定しました。58年前の事件で死刑が確定した袴田さんのように、再審請求を何度しても認められない事件が多いことから、再審規定の緩和を求めて刑事訴訟法の再審の規定の見直しを求める意見書を国(政府、法務大臣)にあげて下さいという請願が市民団体から2023年6月議会に出されました。

再審における検察の手持ち証拠すべての開示を制度化すること、再審開始決定に検察の「不服申し立て」の禁止を制度化すること、以上2点に留意した改正を求め、再審請求決定のハードルを下げてほしいという内容でした。

私は紹介議員の立場から、同趣旨の請願が全国127の議会で採択されている(2023年6月時点)ことを説明しましたが、常任委員会で反対多数で不採択。本会議でも日本維新の会、公明党、会派ぜんしん、政新会(当時)の4会派と保守系無所属3人の反対で不採択となりました。

日本維新の会議員、法務大臣の会見をそのままコピペして反対意見?

維新の委員の反対意見は以下のようなものでした。

  1. 「再審請求の段階で抗告を認める必要性がないという意見がある反面、違法・不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地からこれを是正するために、検察官抗告を行う必要性は高い」
  2. 「再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である」
  3. 「必ずしも刑事司法に精通しているとは言えない地方議会の判断事項にはなじまない」

そもそも再審請求が認められない事件が多い中「違法・不当な再審開始決定」という言葉に違和感があり検索してみると、反対理由1.2.はなんと、請願提出先である法務大臣の記者会見(2023年3月22日)の言葉の丸写しでした。

地方議会の意見書提出権*をないがしろにする行為

3.は、すでに多くの地方議会で同趣旨の請願は採択されている事実を無視し、市民の請願権の抑制につながりかねず、地方議会の権能を軽んじるものです。死刑が確定した冤罪被害者の再審決定が得にくい現実に心を痛める市民団体から出された請願に、ネット上の法務大臣の言葉をそのまま自分の意見として議会で述べる行為は、市民の真摯な請願意思に向き合うことをしない態度であり、地方議会の意見書提出権をないがしろにする行為です。

市民の皆さんには、西宮市議会でどのような審議、審査が行われているのか、今回のような安直ででたらめな発言がもっともらしい顔で行われていないか、実態をぜひチェックしていただきたいと思います。

※意見書提出権…地方自治法第99条 普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる。

「女性の議員を増やそう」と訴えるにはちゃんとした理由がある…7

家事も育児も介護も人まかせの“ケアレス”議員による「ケアレス政治」でいいのでしょうか?

なぜ、女性の議員は、増えなければいけないのでしょうか。この点に関して、政治学、ジェンダー学の研究者でお茶の水女子大学の申琪榮(シンキヨン)さんのお話を聴く機会がありました。

申さんは、ルール変更など決めることがあるとき、その当事者が主体にならなければならないと言います。

決定の場に女性やマイノリティが入らなければ、権限のある人だけの意思に偏った結果になってしまい、偏った人たちとその人たちに近い人だけが優遇され、そうではない人たちの困りごとは、その後も解消されない状態が続いてしまいます。

また、中立的にみえる制度でも、男性を基準としている場合が少なくないと、指摘されます。日本における夫婦同姓の制度もその例です。

婚姻の前提条件として、現行民法は夫婦同姓でなければならないと決めています。

改姓の負担はほとんどの場合、女性が負って96%の妻が夫の姓に変えています。同等の権利が保障されている社会であれば、数字は分かれる
はずです。

昨今話題のNHKの連続ドラマ「虎に翼」で描かれている民法の大改正の場面では、実務者として関わっている女性は主人公の寅子だけでした。

当時の法曹実務も国会議員も人口に即した過半数の女性がいたなら、現行民法の条文の中の“明治時代の残滓”と言われる部分も削除できていたのかもしれません。

2024年9月市議会日程(開会は原則10時)

8月

  • 29日 本会議 提案説明

9月

  • 4~6日 本会議一般質問
  • 9日 本会議一般質問、質疑、委員会付託、追加議案
  • 11日 常任委員会(総務、健康福祉、教育こども)
  • 12日 常任委員会(民生、建設)
  • 17日 委員長報告、討論、採決
    提案説明・監査審査意見(一般・特別会計決算)
    質疑・委員会付託(企業会計決算、一般・特別会計決算)
    決算特別委員会全体会(本会議終了後)
  • 24日 決算特別委員会分科会(総務、健康福祉、教育こども)
  • 25日 決算特別委員会分科会(総務、健康福祉、教育こども)
  • 26日 決算特別委員会分科会(総務、民生、建設)
  • 27日 決算特別委員会分科会(民生、建設)

10月

  • 2日 決算特別委員会全体会、議会運営委員会
    本会議、委員長報告・討論・採決
  • ※詳しくは議会ホームページ等でご確認ください。

INFORMATION

【市民オンブズ西宮】定例会
・毎月第一土曜 10:00~12:00
・会場:原則 西宮市市民交流センター
TEL:0798-52-9157(折口)

【女・女西宮】女・げんき・ビデオ&トーク
・毎月第二金曜 19:00~
・会場:ウェーブ
onnagenki2010@gmail.com

【キラリかおる市民ネット】
よつや薫の市議会報告会を開催します。申込不要、直接会場へおこしください。
・11月4日(月・休)14:00~16:00
・中央公民館402集会室(プレラにしのみや4階)

2024年4~6月 会計報告

政務活動費(円)

交付額 360,000
支出 0
返還額 360,000

議員報酬(円)

収入

議員報酬 1,957,950

支出

所得税 170,040
市県民税 231,900
その他公租公課 79,800
国保・介護保険 258,500
議員互助会 3,000
広報・年会費等 87,300
活動事務経費 321,820
報酬供託相当額 180,000
選挙準備費 150,000
生活費等 475,590
合計 1,957,950

政務活動費返還予定額について

政務活動費は年間144万円(四半期ごとに36万円)が先に交付され、年度末に残額を返還します。私は、政務活動と個人の政治活動や私的使用との区別が
困難な広報・広聴費、事務費、事務所費は政務活動費から一切支出すべきではないとの考えから、それらの充当はなく、全体の充当も少額に抑えてきまし
た。

なお、2024年度は、市の財政改善の姿勢が示されていることから、交付は受けるものの、年額144万円そのまま返還する予定です。
また西宮市議会の政務活動費、月額12万円は、近隣の芦屋市7万円、宝塚市8万円に比べ高額であることから、一貫して7.5万円にすべきと訴えてきました。

その他の会計報告

受け取り拒否と供託について

新人議員のときから「なくそう! 議員特権」とうったえ続け、議員に支出される公費について、これまで、厳しくチェックし、不要な役職加算の廃止、高い報酬の減額部分について受け取り拒否あるいは供託で返上してきました。

受け取り拒否は、新人議員の任期の始まる直前の額にあたる月額報酬(230,000円)、審議会委員報酬(累計302,517円)です。

報酬削減を最低1割として、その相当額と、他市に例のない正副委員長加算も受け取るべきでないと考え、その合計額を供託相当額としています。
なお、供託金は、払渡請求権が10年で時効消滅して、国庫に入ってしまうため、時効消滅に近いものから払渡請求をして女性の立候補者を増やす活動をしている一般社団法人にその額を寄付(所在地は大阪府)しています。

編集後記

請願に関わる維新議員の唖然となるコピペ発言疑惑( 3 頁)。同じ会派の「?」はそれにとどまらない。

12 月に「人事院勧告に基づく給与改定」を求める質問があり市長も「3 月までに努力したい」との答弁をして、いざ3 月に市長がその内容で提案すると当該会派で「反対」という理解不能な採決態度。

議員としての良識を疑いたい

☆8歳の友人との会話。「薫ちゃんは、結婚してないの?」
私「そうよ。結婚はしたくなったらしたらいいし、薫ちゃんのように結婚しなくてもいいねんよ」と。

率直で自由な会話ができる関係性がありがたい

☆別の日、喫茶店の隣席に現役の大学生とおぼしき女性二人がいた。聞くともなく耳に入ってきた会話は「( 政府も) 同性婚とか選択的夫婦別姓とか、もう反対してる場合とちがうよ。ちゃっちゃと進めたらええねん」
「ほんま、そうやね」この社会の未来は意外と明るいのかも

☆NHK 朝の連ドラ「虎に翼」。時には涙を流しながら見ている。かつてベアテ・シロタさんが憲法草案になぜ24 条を入れたのか、その理由も改めて検証できるドラマとも思う

☆( よつや)

「よつや薫の市議会報告会」は不定期で開催していますが、次回は11月4日に予定しています。
キラリ☆かおる市民ネット通信 No.42<2024.夏号>
【発行】よつや薫(西宮市議会議員】
〒662-0965 西宮市郷免町3-22 TEL/FAX 0798(22)8832 議員控室(35)3539
※ この通信発行の費用はすべてよつや薫個人の報酬から支出しています。政務活動費から一切支出していません。
※ 発送・ポスティング等は市民のボランティアに支えられてい ます。

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