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この選挙の意味-緊急事態条項は食い止めるべき

 この選挙の意味、などと言いますと、とても上から目線のようにも聞こえますが、私は、とても重要な選挙、歴史に禍根を残すのかどうかの曲がり角だと考えています。

 むろん、長く、憲法の勉強会などをささやかながら続けてきた立場から、現在の国政の状況があまりにも国民に寄り添うことを忘れた人によって行われているとしか思えないこともあります。

 よく「国政の私物化」とか、「自己都合解散」とも言われましたが、それはその通りだと思います。

 でも、実際のところは、この解散は、やはり、アメリカ合衆国追従の姿勢を強めたその果ての解散と言えます。

 そして、もっとも危険な争点は、自民党の政権公約にも憲法改正のなかの「緊急事態条項」を書き込む姿勢を見せていることです。これも、無論、アメリカからの意向を反映させるものです(自民党の政権公約にある「緊急事態対応」とは選挙向けに急いであつらえた名称ですが、紛れもなく「緊急事態条項」のこと、とすでに専門家が指摘しています)。

 この「緊急事態条項」の危険性は、知人の弁護士の方もつねに言っていたし、大阪弁護士会もパンフレットなどを作成して、随分以前から深刻な問題として指摘していたことです。

 が、それが、これほど早い時期に簡単に出してきたのだなという気がします。
 安倍政権は、やる、と言ったことは、これまで、どれほど違憲だといわれようと、立法化してきてしまっています。

 したがって、政権公約にまでそれらしきことを書きこんでいるからには、近い将来、絶対にやってきてしまいます。

 

実は、昨年の私の市議会報告にもそのことに触れています。

以下に、その内容を張り付けます。

そして、その結果、どうなるかをその下に書いておきます。

ぜひ、何かのご参考にお読みいただければ、幸いです。

そして、10月22日の選挙にはぜひ、投票に行きましょう。

 

【主権を制限し、首相に全権委任を与える「緊急事態条項」を憲法に盛り込んではいけない】

この「緊急事態条項」は、

自民党が野党であった 2012 年 4 月に「自民党憲法改正草案」(以下、草案)を作成、現行憲法にはない、新たに盛り込まれた条項のひとつです。草案は、多くの憲法学者から様々な批判を浴びています。

 「緊急事態条項」は、この「条項」だけで政府に全権を与える一種の全権委任です。他国でも「緊急事態」を宣言できる制度はありますが、それには極めて厳しい限定のもとで認めているのです。自民党が出している案とはその内容が全く異なります。かつてのドイツは、第一次大戦後の世界の中で、最も民主的な憲法、ワイマール憲法を制定していました。しかし、その最も民主的な憲法下において、ヒトラーを中心とするナチスが台頭したことは歴史上の事実です。

 一方、日本も敗戦という結果をうけて日本国憲法という、世界でもっとも進んだ民主的な憲法を持つことができました。しかし、今、この国で進められようとしていることに対して、民主的な憲法であるがゆえに、かつてのナチスドイツに類似する点が出ているのではないかという危惧の声が高まっています。「緊急事態条項」に関する動きがその現れです。(以上1p.)

 「憲法を守っていない人が憲法を変える。僕には悪い冗談としか思えない」。今年(注:昨年2016年)5月3日の憲法記念日の集会での高校生の発言です。

 「憲法」に則って政治権力が行使されるべきであるとする立憲主義の基本的ルールを、自ら破る政府にむけての素直な意見に感銘をうけました。このルール破りのサンプルが2012年に発表された「自民党憲法改正草案」(以下、草案)です。草案は現行憲法を一変させ市民に権利が十分に保障されていなかった時代へと戻す内容になっています。

 現行憲法は、一人ひとりが大切にされるべきであるという個人の尊厳を基本理念とし、そのために立憲主義は当然守られなければなりませんが、草案では立憲主義を否定。現行憲法 99 条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とする為政者に課した憲法尊重擁護義務を、草案 102 条では「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と国民に課しています。「政府を縛る憲法」から「為政者が国民を支配する道具としての憲法」に変質させています。

 そして、1ページで触れましたように、「緊急事態条項」を盛り込む点も現行憲法を一変させるものです。戦間期のドイツにおいて、当時最も民主的であったワイマール憲法下でナチスが台頭した大きな要因は「国家緊急権」(≒緊急事態条項)を何度も使ったことにあります。ナチス研究の第一人者石田勇治東大教授は「草案の緊急事態条項は、ナチスが独裁を確立した大統領緊急権 (ワイマール憲法48条「国家緊急権」) と『授権法』を足したような強力な独裁条項だ」とその危険性を指摘しています。

 「緊急事態条項」が想定する「災害」対策や「有事」についてはすでに「災害対策基本法」や「有事法制」が整備されており「緊急事態条項」は全く必要ありません。

(以上、「よつや薫の市議会報告第31号」より)

 

安倍政権は大規模な自然災害時に迅速に対応するために緊急事態条項が必要なのだと強調するのでしょうが、自然災害時の政府への権限集中についてほとんどの自治体首長が「必要ない。災害対策については、逆に現場をよく知る現場に近い自治体が主導すべき」といっています。

 

 そして、緊急事態条項の内容が本当に怖いのは、以下の点などです。

 

・国会の事前同意が必要ない(三権分立の形が全く崩れる)

・基本的人権が制約される

・法律と同じ効果をもつ政令の制定が可能になる(国会議員も、意見がいえなくなる)

・総理大臣だけで予算措置を行える

・緊急事態の期間に制限がない

・内閣は衆議院の任期を延長することができる

・地方自治がなくなる(地方分権は空洞化する)

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