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12月議会最終日…「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書(案)」は不採択

本日、12月定例会、最終日でしたが、私は、意見書(下記)の提案をし、請願2本の賛成討論、そして、議員に支給される期末手当の増額には反対討論をそれぞれ行いました。

さて、この「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書(案)」の提出ですが、意見書提出自体、実は無所属議員が提案するのは、めずらしい事なのですが、制度上可能なのでこの「選択議定書」が採択されて20年という節目の年の最後の定例会でもあり、提案させていただくことにしました。

この20年の間にいくつかの市町で同趣旨の意見書が採択されており、今年に入ってからも、東京都文京区、福島県郡山市、高知市、東京都三鷹市、八王子市、北九州市などで既に採択されているものだったのですが…。

結果は、無所属4人、日本共産党西宮市会議員団(4人)、市民クラブ改革(5人)の13人の賛成にとどまり、否決となりました(反対は政新会(8)、公明党(8)、会派ぜんしん(6)、維新(4)の計26人)。残念ながら、西宮市議会では不採択、ということになりました。

そのまま以下に貼り付けますが、提案説明として述べた、後段も続けて貼り付けます。これは、現場で少し読み替えている部分もありますが、概ね、そのような事を議場で述べた、というものです。

   女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書(案)

国連で1979年に、女性差別撤廃条約(以下「条約」)が採択されてから40年が経ち、日本が1985年に批准してから来年で35年になるが、性別による差別が撤廃されたとは言い難い状況である。セクシャルハラスメントやDVなどの性暴力、男女賃金格差や非正規雇用など雇用上の問題、さらには大学入試での差別的扱いなど日本社会の男女間の不平等な扱いに対し、改善を求め多くの女性たちが声を上げ続けている。
条約は、2019年6月現在で189か国が締約国となっている。また、条約の実効性を高めるため、1999年に女性差別撤廃条約選択議定書(以下「選択議定書」)が採択され、締約国のうち112か国が批准しているが、日本はまだ批准していない。
個人通報制度と調査制度を内容とする選択議定書は、女性の人権保障の「国際基準」として、条約の実効性確保に重要な役割を果たしている。日本でも選択議定書を批准し個人通報制度を導入することで、性別による不平等をなくすための効力が強まることが期待される。
国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)における日本の本条約実施状況報告審議では、2003年、2009年、2016年ともに選択議定書の批准が奨励され、日本の批准を繰り返し求めている。また、第4次男女共同参画基本計画は、「女子差別撤廃条約の積極的遵守等に努める」「女子差別撤廃条約の選択議定書については、早期締結について真剣に検討を進める」と明記している。さらに、国会においては参議院で選択議定書の早期批准を求める請願が2001年から2016年の間に20回も採択されている。
政府は、男女平等を実現し全ての人の人権が尊重される社会をつくるため、速やかに選択議定書の批准に向けて動き出すべきである。
よって、本市議会は、国に対し、条約採択40年・選択議定書採択20年という節目に当たる本年こそ、選択議定書を批准するよう強く求めるものである。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣、外務大臣、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

(以下、後段の補足説明)

さて、昨日17日、おりしも、世界経済フォーラム(WEF)が、世界各国の男女平等の度合いをランキングした2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」を発表しました。調査対象153カ国のうち、日本は121位と前年2018年の110位に比べ、再び、大きく順位を落とし過去最低となり、G7の諸国の中でも、最下位にとどまり続けています。

しかし、この現状を是正し、足らずを補完し、実質的な男女の平等社会の実現に実効性ある制度を保障したのが、女性差別撤廃条約選択議定書であります。

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)は、前回の勧告を改めて表明するとともに、活動のすべての分野において女性が直接・間接双方の差別から保護されることを保障するという観点から、本条約第一条に従い、女性に対する差別の包括的な定義を国内法に早急に取り入れることを締約国に要請する、としていましたが、

2018年秋に、女性活躍推進法・雇用機会均等法改定、パワーハラスメントに関する労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開かれ、労働組合や女性団体が差別の定義の均等法への取り入れ、間接差別の見直しなどを求めていました。

しかし、均等法改定の好機にもかかわらず、条約第1条「差別の定義」を均等法に規定することも、雇用管理区分の廃止を含む間接差別の見直しも行われず、法律案にもなりませんでした。

この立法の不作為を補完し、実効性ある平等を確保するためにも、条約上の権利を侵害された個人からの通報制度を定め、条約の効果的な実施を図る選択議定書の批准を改めて求めるべきであります。

意見書案に例示して述べていますように、性別による差別が撤廃されたとは言い難い状況は、男女賃金格差や非正規雇用など雇用上の問題、あるいは、昨年、にわかに露呈した大学入試での差別的扱い等にとどまらず、セクシャルハラスメントに対する法制度の未整備や性暴力事件が立件され起訴されたにもかかわらず無罪判決が連発されるという司法の現状も続いています。

この国における性差別、格差の厳しさを数値で示されたジェンダー・ギャップ指数の悪化を示されるまでもなく、重い現実が横たわっています。

その現状を是正するために、地方議会としても、差別に与せず、放置しない姿勢を示すべきではないでしょうか。せめて、本意見書案を採択することによって、性別による差別を解消する動きを西宮市議会全体の意思として示すべきと考えます。

何とぞ本案に対し御賛同いただきますようお願いいたしまして、提案説明といたします。

以上が、提案説明でした。

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